去る2021年4月16日にオンラインで第4期のR-GIROキックオフシンポジウムが開催されました。R-GIROは2008年に総長を機構長として設立され、本学の学問の垣根を越えた連携により地球規模の総合的な課題に取り組む中で若手研究者の育成を図ることが重要な役割となっています。公募申請に基づき審査の結果採択された提案のみがプロジェクトとして活動を一定期間実施し(5年間)、毎年上期と下期の成果報告に加え、成果発表シンポジウムの実施等を通じて成果発信を行います。R-GIRO予算は、若手研究者の雇用に充てられ、研究活動費は主として外部予算で賄います。機構長代理の村上先生のお話にもありましたように、R-GIROは当初より順に、自然、人、そして地球と共生する社会の構築を掲げ、様々な提案プロジェクトによって進められてきました。

我々の第4期プロジェクトでは、図のイラストで示すように「センサ・マイクロマシンがつなぐ革新的サイバー・フィジカルシステム(CPS)モデルの医療健康分野への展開」をテーマに研究活動を推進します。1Gから4Gまで4つのグループを編成しています。後でも少し述べますが、1Gは経営学を専門とするグループリーダーのもと、イノベーションエコシステムをテーマとしています。

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図1 「センサ・マイクロマシンがつなぐ革新的CPSモデルの医療健康分野への展開」

 さて2008年にスタートした第1期に始まり、第4期までの4期間にわたって、私自身は拠点代表として継続して4つのプロジェクトを推進してきています。この間多くの若手研究者が育ち、巣立っていきました。そして今回、第4期のキックオフが開催されたわけですが、各期の目標に沿って第1期は単独、第2期ではグループ・チーム構成し、第3期以降は拠点形成を狙って体制規模、研究内容ともにスケールを拡張しながらR-GIROの活動を続けてきました。第3期からは当拠点は、機友会でもお世話になっています津田先生にアドバイザーとしてお世話になっています。

一貫して、センサやマイクロマシン(MEMS)のバイオメディカル分野への応用を通して「人口・年齢構成の変化(少子高齢化)」対策に取り組んできました。活動を進める中で、健康寿命の延伸を目指し、特に筋肉が減弱する筋減弱症への対策に着目し、特に二つの最先端手法の活用に取り組んできました。

一つは、生体から採取した標本を分析して最適な処方を探る研究に関わる内容です。特に標本採取の負担を軽減するために採取標本量を最小化するマイクロマシン技術の提示に取り組んでいます。同様の事例として、超微量血液分析技術の研究開発が挙げられ、既にAMEDの事業で実用化に取り組んだ経験を私自身持っております。

もう一つは、培養する細胞や細胞組織の活用です。実験室で培養した細胞や細胞組織を用いた薬剤評価(スクリーニング)などの技術の研究開発が世界中で加速しています。我々の拠点でもセンサ・マイクロマシンを集積化したチップ上で骨格筋細胞を培養し、収縮運動をコンピュータ制御・モニタリングするシステムの研究で成果を挙げています(本学ホームページをご笑覧下さい:http://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=2000)

 機械を専門とする方々には、生体とか細胞とかと聞かれると少し機械と遠い世界と感じられるかもしれませんが、今や細胞や細胞組織は、バイオハイブリッドマシンの構造材料としても重要となっており、バイオ分野における機械的な現象を扱うメカノバイオといったキーワードも一般的になってきていますので、お見知りおき頂ければと思います。立命館のキャッチフレーズであるBeyond Bordersさながら、人が歴史的に分類してきた分野間の境界を越えた取り組みが自然に行われるようになってきている一例かと思います。社会的課題の解決には重要なアプローチになります。アドバイザーの津田先生にも、このような異分野結集研究を進める本拠点活動に、常々楽しくご高配頂いています。

第2期よりこの生体/生体外の二つの手法を着実に形にしながら、第3期では間葉系幹細胞(MSC)を骨格筋に与え、その骨格筋活性化への寄与に着目した斬新な研究を推進し、成果を挙げています。第3期でも生体/生体外の二つの手法は重要な手段となっています。

 さて先日のキックオフシンポジウムでは、これらの研究内容やその成果よりも重点的にお話しさせて頂いたことがあります。

一つはイノベーションエコシステムであり、もう一つは次世代リーダの育成です。

 第3期までの研究活動の成果は学術論文等の発信も活発であり、今後も精力的に続けていく所存です。一方、その社会実装はどうか。得られた成果をどのように社会につなげればいいのか。もちろん社会貢献を目指して研究を設定計画して推進してきていますが、いざ社会実装を具体化するとなると容易ではないのが実状です。我々の第4期の研究拠点では、経営学的手法をベースにバックキャスティング的にゴールへの道筋を検討することを重視します。道筋を踏まえた課題設定と各研究者が提案する課題との整合性を高め、ゴールへの道のりを描こうとするものです。成果が出てから次を考えるのではなく、イノベーションエコシステムを意識して成果を創出することに挑戦します。

 もう一つは、ジュニアグループリーダーの育成です。若手研究者の育成はもちろんですが、当拠点のグループリーダー陣は、これまでの第3期までのR-GIROの活動実績を踏まえ、第4期では、グループリーダーの経験を次の世代に継承することに取り組みます。

 限られた時間の中、当日の発表では、研究の中身は必要最小限にとどめ、この二点について強くアピールさせて頂きました。Q&Aで研究の中身をもっと知りたいというご質問を頂いたのは、その意味で狙い通りでした。

以上拙文で恐縮ですが、少しでも我々の拠点についてご理解頂き、我々の今後の活動にご関心をもって頂ければ幸いです。

 

機友会ニュースデジタル版第116回 R-GIROキックオフシンポジウム発表内容 小西 聡 先生