赤外線アレイセンサフォーラム

機械工学科 木股 雅章

大学は優秀な学生を輩出する以外にいろいろなことを社会から期待されている。産学連携や社会人教育などがその代表例であるが、工学系の教員にとっては、間接的に産業界を活性に寄与することも大切な役割だと考え、いろいろな活動を行ってきた。ここで紹介する「赤外線アレイセンサフォーラム」は、そうした活動の一つである。

私は、28年間企業で仕事をしたのち立命館大学に移籍したが、企業にいる時代から、私が研究テーマしている赤外線センサ分野で、日本の企業が交流できる場(イベント)がないことを寂しく感じていた。2004年に大学移籍し、企業を離れたことで他の企業の方々と議論しやすくなった。「赤外線アレイセンサフォーラム」の構想は、企業の方々との議論から生まれたものである。

「赤外線アレイセンサフォーラム」の準備は、組織を作るのではなく、企業の有志の協力を得て大学の一研究室で進めた。当初、赤外線アレイセンサという日本では馴染みのない狭い技術/ビジネス分野なので、参加者50名程度の小規模のイベントになると考えていた。ところが、第1回の会合を2009年5月21日にBKCローム記念会で開催することを決め参加募集を開始すると、予想以上の120名を超える参加申し込みがあり大変驚いた。

順調なスタートが切れそうな出だしであったが、開催日の数日前にBKCで新型インフルエンザ騒ぎが発生し、延期せざるをえなくなった。新型インフルエンザの騒ぎがおさまるのを確認し、7月13日の開催を決定したが、延期した影響でどれだけ参加者が減るのか非常に不安であった。この不安は募集を開始してすぐ解消され、最終的には延期前の2倍近い240名の方に参加していただくことができ、業界がこうしたイベントを待ち望んでいたことが実感できた。

第1回目の成功に勇気づけられ、これまでプログラムや運営方法を工夫しながら毎年夏に「赤外線アレイセンサフォーラム」を開催してきた。参加者数は着実に増加し、2014年にはそれぞれ400名を超えた。400名を超える講演会をBKCで開催することは難しく、2016年からはOICでの開催に切り替えた。開催場所をBKCからアクセスのいいOICに移したことで規模はさらに拡大し、昨年の参加者数は570名超となった。

「赤外線アレイセンサフォーラム」では、企業展示も行っている。2009年には30件であった展示件数が、2014年には45件、2016年には70社に増加していて、これまで企業間の交流の場としての役割を果たしてきている。このフォーラムは国内イベントの位置付けで開催しているが、海外にも知られるようになり、これまで、米国、フランス、ベルギー、イスラエル、韓国、トルコからの参加があった。

「赤外線アレイセンサフォーラム」の成長は、参加していただいた方々の口コミが大きく寄与していて、毎年半数はメーリングアドレスに登録されていない新しい参加者である。このイベントが広く受け入れられた要因は、狙いを赤外線センサ業界の活性化に絞り、企業の方々の参加しやすさに配慮した点であると考えている。今年も7月21日にOICで開催する予定で、準備を進めている。すでに、赤外線センサ業界では、年中行事として広く認知されるイベントになってきており、次のステップを考える時期を迎えている。

写真1 BKCローム記念館で行った第1回赤外線アレイセンサフォーラム

機友会ニュースデジタル版 第8回 理工学部特任教授 木股 雅章 先生 「赤外線アレイセンサフォーラム」