理工学部機械工学科 上野 明 教授の「機械系教員が語る鉄道よもやま話⑦」

超高速鉄道編(その4 世界における超高速鉄道開発史(2)):

アメリカは自動車社会の国ですが,日本の東海道新幹線の実績に注目した当時のジョンソン大統領のもとで1965年に「高速陸上輸送機関開発法」が制定され,大都市間高速鉄道の研究開発を始まりました.代表的なものとしては,MITが提案した「グライド・ウェイ」,ブルックヘブン国立研究所が提案した「磁気浮上列車」,チューブ交通会社が提案した「真空チューブ列車」などがありました.何れも実現はしていませんが,現在でも,構想としては残っているものもあります.

日本においてもリニアモーターカー以外に,超高速鉄道の研究が行われていました.名城大学理工学部の小沢久之丞教授によって,ロケット列車の開発が行われていました.ロケット列車は,上述の「真空チューブ列車」の一種であり,真空チューブ内をロケットエンジン推進の列車を走行させるもので,1970年には小動物を載せた試験車体が,時速2500kmという驚異的な速度を達成しますが,発車・停止時の加速度が大きすぎ,人体は耐えることができない等の理由で,その後,開発は打ち切られます.現在でも,名城大学には,当時のロケット列車が展示されています.

以上のように,当時,世界各国で進められていた超高速鉄道の研究開発は,日本のリニアモーターカーを除き,すべて終わっています.

ところで,日本の東海道新幹線の成功を契機に,世界各国で「新幹線」が建設されるようになり,日本の新幹線と各国の新幹線が比較されます.走行速度では,日本の新幹線は世界一ではありませんが,開業以来,無事故(営業運転中の脱線等による死亡者はゼロ)の実績は,他国の新幹線を凌駕する点です.もう一つ,日本の新幹線車両が他国の新幹線車両より勝っている点があります.他国の新幹線車両の車幅は,最大でも3000mmを少し超える程度が多いのに対し,日本の新幹線は,山形・秋田新幹線用車両を除き,車幅は3380mm(N700系等,一部を除く)あり,これはある意味で驚異的な値(注)です.インド国鉄が日本の新幹線方式を採用することを決めましたが,インド国鉄の軌間は1676mmと日本の新幹線の1435mmより遙かに広いため,インド新幹線車両の車幅がいくらになるのかが楽しみです.来年からうちの研究室に,インド鉄道省派遣の留学生が来る予定なので,一度聞いてみようと思います.

(注:例えば,フランスTGV車両幅は最大で2900mmであるのに対し,日本の在来線用車両の幅は2950mmのものがあります.京阪神地区で快速や新快速用に使われている221系,223系,225系電車の車幅が2950mmです.日本の新幹線方式を採用した台湾新幹線の車幅は3380mmです.中国の新幹線には車幅3380mmのものもあります)

 

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