理工学部機械工学科 上野 明 教授の「機械系教員が語る鉄道よもやま話⑥」

超高速鉄道編(その3 世界における超高速鉄道開発史(1)):

日本がリニアモーターカーの研究を進める中,世界各国でも超高速鉄道の研究開発が進められていました.その代表的なものの幾つかを紹介します.

当時,鉄道高速走行の世界記録(1955年に樹立の時速330.9km)を保持していたフランスでは,1965年からアエロトランの開発が始まりました.アエロトランは,ホバークラフトと同じ原理により車体を浮上させ,プロペラエンジンやジェットエンジン等で推進力を得る方式です.1974年には,80人乗り試験車両で時速430.4kmの記録を樹立しますが,その後登場するフランス新幹線TGVに比べ,輸送容量が低い等の理由で,1977年にアエロトランの開発は終焉を迎えました.

ドイツでも,トランスラピッドという磁気浮上式鉄道の開発が進められていました.トランスラピッドは,地上に設けられた「ステータ」という鉄製部品と車載電磁石との電磁吸引力で車体を約8mm浮上させ,リニアモータ推進で走行します.高速走行時の車両への給電は,電磁誘導方式の非接触で行われます.1993年には有人車両で時速430kmの磁気浮上式鉄道としては当時の世界最高速記録を樹立し,その後,2006年には中国・上海国際空港のアクセス鉄道として採用され,営業運転が始まりますが,ドイツ国内においては,ドイツ新幹線ICEに比べメリットが少ない等の理由で,2011年にトランスラピッドの開発は打ち切られます.

(※地震の多い日本では,車体の浮上量8mmでは足りず,リニアモーターカーの浮上量は10cmになっています.)

 

シリーズ「機械系教員が語る鉄道よもやま話⑥」